大企業のようにお金の使い方にあらゆる利害関係者からの監視の目が行き届いている状況であればいざしらず、中小企業は社長の一存でお金の使い方が決まり、それがそのまま資金繰りに直結します。資金繰りは簡単に言えば、お金の使い方そのものです。長期的な視野で資金繰りをよくするには方法論を学ぶことも大事ですが、それ以前にお金の使い方、資金繰りをコントロールする心構えや知恵を身につけることが重要です。社長自らがそれに取り組み、コントロール自在になれば、自然とお金をのこうような行動をとり始めます。
たとえば、在庫が積みあがっていれば、処分してお金にしようとしますし、そもそも在庫にならないよう適正な仕入れを心がけるようになるものです。過分な設備投資は避け、滞留債権があれば、どのようにして回収するかということも考えるようになります。また、お金を借り入れる必要がある場合には、現在の事業規模でどの程度の借り入れが必要でかつどの程度の返済金額なら返済できるかなども理解できるようになるのです。つまり、資金繰りをコントロールするということは、お金を残すためにはどのように行動したらよいのかという実践的な行動指針となります。
この知恵の上に立って、専門的な方法論を組み合わせていくことにより、永続的なよい効果をもたらすことになるのです。そのため、支払いは遅くしょうなど、こうすればこうなるとうような方法論を片っ端から試していく前に、まずは根本的な知恵を身につけることが重要になります。